そして、細いけれども力強い友の両腕がわたしを抱えて椅子まで運んでいた。
「怪我なんかしてないよな、ワトスン?頼むからけがはないと言ってくれ!」
たとえけがをしていても、それが何だというのだろうー何度けがをしてもそれだけのことはあるというものだー
あのホームズの冷たい仮面の下に、こんなにも深い気づかいや思いやりがあるとわかったのだから。
澄んだ厳しい目がふっと曇り、ひきしまった唇がわなわな震えていた。
あとにも先にもこの一度だけだったがホームズの偉大な頭脳とともにある豊かな心をわたしは垣間見たのだった。
ささやかに、しかし一途にホームズを支えようと努めてきたこれまでの日々は、この瞬間に報われた。
日暮雅通訳「三人のガリデブ」より
「怪我なんかしてないよな、ワトスン?頼むからけがはないと言ってくれ!」
たとえけがをしていても、それが何だというのだろうー何度けがをしてもそれだけのことはあるというものだー
あのホームズの冷たい仮面の下に、こんなにも深い気づかいや思いやりがあるとわかったのだから。
澄んだ厳しい目がふっと曇り、ひきしまった唇がわなわな震えていた。
あとにも先にもこの一度だけだったがホームズの偉大な頭脳とともにある豊かな心をわたしは垣間見たのだった。
ささやかに、しかし一途にホームズを支えようと努めてきたこれまでの日々は、この瞬間に報われた。
日暮雅通訳「三人のガリデブ」より
侵さざるべき孤高の魂シャーロック・ホームズに愛された幸運な男ジョン・ワトスン。