ティオ アーキテクツ 一級建築士事務所

こちら東京、池袋、要町。建築設計事務所の記録です。作品集www.tio.tokyo

Hyugerパラゴン試聴-2

今日も私、冨田です。
秋葉原のヒノ・オーディオ。
Hyugerパラゴン試聴のためにCDとレコードを持ち込みました。
まずレコードから。どれを聴かせてもらおうか非常に迷いましたが....
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バルトーク「オーケストラのための協奏曲」
1972年ピエール・ブーレーズ+ニューヨークフィル

パラゴンですからどちらかというとホール、一発マイクでライブ録音されたもの方が良いだろうと予想しましたが、
敢えてまずは不得意そうなものを選んでみました。
当時CBSが出すレコードは、ほとんどSQ4チャンネル化されていて、
ヨーロッパのようなコンサートホールの臨場感より、
セパレーション、音の粒立ちといった方向の録音を目指していたような気がします。
このレコードはまさに4チャンネルのデモンストレーションといった感じの録音で、
8トラックのマスターテープに24本のマイクを使って録音されました。
とにかく各セクション一人一人の楽器のディテールが見事にくっきりと刻み込まれています。
弦楽器は引っ掻く、リード楽器は共振させる、管楽器は共鳴させる...当たり前のことが聴き取れるのです。
では、パラゴンの音はどうだったか。
4楽章。
弦、リード、管楽器の粒立ちは素晴らしい。プチプチとサイダーの泡のようにフレッシュ。
ティンパニーのような低音域は、古い時代の録音ということと、ウーハーがホーンということもあって
メリハリと迫力が少し足りない。
あとデットぎみの録音なので広がりが余り感じられない。
しかし、聴き始めということもあって体が震えてきました。
そして別のスピーカー(タンノイ)にスイッチングされたとき、さらに音がフラットになったのです。
実はもともとこの録音相当にデットなんです。
パラゴンだからここまでまろやかに聞かせていたんだと判りました。


次は同行したA氏の持参したCD。
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ビル・エバンス「ワルツフォーデビー」
1961年ビレッジバンガードのライブ録音。
LPステレオレコードが開発された1957年に誕生したのがパラゴン。
その4年後の録音です。たった4年でこの素晴らしい録音が可能になるとは驚きです。
1曲めの「マイフィーリッシュハート」
普通Jazzライブの1曲目は、軽いのを演ってお客さんが静まるのを待つことが多い。
けれどこの録音は、ざわめいている客席をよそにいきなりのバラード。
そしてすでに3人ともどっぷりと自分達の世界に没入。
とろけるようなエバンスのタッチ、
ラファロの高音域を主にしたポンポンとはじけるようなベース。
モチアンの濃厚なスネアのブラッシング。
ここでパラゴンはどうだと説明するのは野暮...
「目の前にエバンスがいる....」


最後に、おそらくパラゴンの一番得意とする室内楽
ドボルザークアメリカを選びました。
私はこの曲が大好きで8枚ほど違う演奏で持っています。
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そのうちのお気に入り、1998年カルミナ四重奏団の録音。
とにかく若々しい解釈、メリハリのあるリズム、スキップしているようなピッチカート。
(中学時代に買ったスメタナ四重奏団のものがこの曲の定番と思っていたのが、なんと狭い了見だったことか。)
そしてパラゴンですが、驚愕の発見。
スースー、ハーハーとだれか居眠りしているのでは、と思う音。
見渡しても皆さん真面目に聞いています。
なんと、演奏者の息遣いが録音されていたのです。
数え切れない程聴いたはずの我が家の再生装置ではかつて一度も聴き取れませんでした。
CDプレーヤーも130万円ほどの値札が付いているものでの試聴でしたが、
パラゴンが凄いのか、CDプレーヤーが凄いのか....
たいした音量で聞いているわけではありません。
アンプはヒノ・オーディオオリジナルの5.5Wの管球アンプX2。
パラゴンの出力音圧レベルが96dBで高能率ではありますが、今どき5.5Wとは...
最新最高級のCDプレーヤーで50年前のスピーカーから再生された音。
そこに両者の半世紀の時間の隔たり、技術の差は感じられませんでした。

以上、試聴の感想でした。
1時間半ほどのお時間、ヒノ・オーディオさんありがとうございました。

次回、パラゴン試聴記、最終回に続きます。


大草弘美建築計画一級建築士事務所HP
http://www.ohkusa.net/