変な子ちゃん

変な子ちゃんは
うちの廻りを縄張りにしている。
目鼻口が顔の真ん中に集まっていて
年中どこか体調が悪いので
鼻はぐすぐす、くしゃみをしているし
目は目やにで半分ふさがっている。変な顔だ。
小柄だけどすごく気が荒い。
誰にも近寄らせないし、
手でも出そうものなら爪パンチが飛んでくる。

製図室は半地下なので窓の外は
ちょうど猫の通り道。
しかも隣家から隣家へ裏庭がずっと続いているので
人の立ち入りがなく、野良猫にはもってこいの憩いの場だ。

ある時、
仕事をしていて気配を感じてふと見ると
変な子ちゃんが窓に両手をかけて
中をのぞいていた。

それからなんだかほぼ毎日
やってきては挨拶していく。
子どもが生まれると見せに来る。



野良の暮らしは過酷だ。特に冬。
「今度生まれて来るときはうちの猫でいいんじゃない？」と言ってみたら
案外素直に「じゃ、そうさせてもらうわ」と返事した。
うちに来たら
世界で三番目の猫になって
あったかマット入りの専用ベッドに
汲みたての水に
高級缶詰と個包装のカリカリに
マッサージ、ブラッシング付き
ねずみのおもちゃ付き



夜は一緒に寝て、屋上でひなたぼっこして
ミシナ先生に健康管理してもらう。

大草弘美建築計画一級建築士事務所ＨＰ
http://www.ohkusa.net/