文庫本を読んでいて、アレこのくだり、最近読んだ?デジャブ?と不思議に思う。そうだ、まったくこの通りの様子を何週間か前、お呼ばれしたお宅で見たんだった。まだ言葉もままならない小さい女の子とやんちゃな若いお父さんがケーキを前にして。
武田百合子さんの観察眼・表現力!
くみちゃんに西瓜の大きい一切れを大人と同じように皿に入れてやるとゆっくりと食べていたが、早く食べてしまった修(←父親)が「よこせ」というと、大へんな顔をして、ウワウワと泣き出してとまらない。いつもいつも、こういった仕打ちをされてきて、私は我慢をしてきたが、もう我慢は出来ない、といった感じの泣きかたであった。