文治さん

黒の羽織袴。
高座に出てきてまえかがみに座布団に座ると
沸いているお客さんにひとこと「おかまいなく」

池袋演芸場が新しくなったあと
トリで出ていらした文治さんが厳しい声で
「こんな狭い場所でマイクなんか使うんじゃないよ！」
と言って、マイクを切らせたことがありました。

雪のあとの国立演芸場。
文治さんがトリ。
聞き終わって誰よりも早く外に出て
演芸場から駐車場への坂道を歩いていた私たちに
坂上から文治さんがスケートでもするように滑り降りながら
「滑りますよ、お気をつけください」と声をかけていかれました。

徹子の部屋ではあの徹子を振りきり暴走するという荒技を見せた文治さん。
そんなこと今どき誰も気にしやしないって！というような
言葉遣いにも徹底してこだわっていました。
「客商売の店で「ありがとうございました」なんて言うんじゃない、
それっきりってこと。「ありがとうございます」だ。」

「うちに持って帰って。
文治さんをさ。
床の間に飾りたいよね」

そんな大好きな噺家さんでした。

大草弘美建築計画一級建築士事務所HP
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